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デジタルリマスター版『シャンタル・アケルマン映画祭 2023』4/7(金)〜4/27(木)ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催!ほか全国順次ロードショー

シャンタル・アケルマン映画祭
全国順次ロードショー
特集上映「シャンタル・アケルマンをめぐって」5/6-5/21※5/15-19は休映 東京日仏学院にて開催
Trailer
既成の映画ルーティンをことごとく破壊し、観る者を全く新しい地平へと誘う映画監督、シャンタル・アケルマン。昨年、イギリス映画協会が10年ごとに選出する「史上最高の映画(The Greatest Films of All Time)」にて代表作『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』が見事1位に輝いた(2位はA・ヒッチコックの『めまい』、3位はO・ウェルズの『市民ケーン』)。そんな彼女の特集が昨年に続き今年も開催。『ジャンヌ・ディエルマン〜』を含む前回上映された5作品に加え、デビュー作の短編『街をぶっ飛ばせ』をはじめ新たに5作品をラインナップ。全10本、そのいずれもが異なる貌を持つアケルマンの世界をご堪能ください。
「すべてがそこにあった」。シャンタル・アケルマンは18歳の時に撮った最初の短編『街をぶっ飛ばせ』についてそう述べた。映画の枠、既成の価値を「ぶっ飛ばし」、作り出していったその後の作品群のすべての原型、そして私たちの中にある狂気、悲喜劇、転覆の可能性がたしかにそこすでにある。こうして映画作家シャンタル・アケルマンは、小さな台所から出発し、やはり台所で終える(『No home movie』、2015 年)までのほぼ50年間、忘れられ、放置された世界の片隅に赴き、ごく普通の日常を称揚し続けた。News from home、私たちはそこから届いた便りを受け取る。あの顔、あの声、あの街の喧騒、あの波の音、あの雪の白さ、あの夜の闇、あの抱擁を。アケルマンの映画は観る者それぞれに大きく開かれ、それぞれの声やまなざしを抱きしめながら、果てしない旅を続けていく。
坂本安美(アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム主任)
シャンタル・アケルマン Chantal Akerman
1950 年6月6日、ベルギーのブリュッセルに生まれる。両親は二人ともユダヤ人で、母方の祖父 母はポーランドの強制収容所で死去。母親は生き残ったのだという。女性でありユダヤ人でありバイセクシャルでもあったアケルマンは15歳の時にジャン=リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』(65)を観たことをきっかけに映画の道を志し、18歳の時に自ら主演を務めた短編『街をぶっ飛ばせ』を初監督。その後ニューヨークにわたり、初めての長編『ホテル・モンタレー』(72)や『部屋』(72)などを手掛ける。ベルギーに戻って撮った『私、あなた、彼、彼女』は批評家の間で高い評価を得た。25歳のときに平凡な主婦の日常を描いた3時間を超える『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』を発表、世界中に衝撃を与える。その後もミュージカル・コメディ『ゴールデン・エイティーズ』や『囚われの女』、『オルメイヤーの阿房宮』などの文芸作、『東から』、『南』(99)、『向こう側から』(2002)といったドキュメンタリーなど、ジャンル、形式にこだわらず数々の意欲作を世に放つ。母親との対話を中心としたドキュメンタリー『No Home Movie』(2015)を編集中に母が他界。同作完成後の2015年10月、パリで逝去。
LINE UP
Saute ma villeSaute ma villeCollections CINEMATEK - ©Fondation Chantal Akerman

街をぶっ飛ばせ

※『家からの手紙』と併映
本映画祭での初上映作
監督・出演:シャンタル・アケルマン
撮影:ルネ・フルシュター
1968年|ベルギー|モノクロ|12分
当時18 歳だったアケルマンが、ブリュッセル映画学校の卒業制作として初めて監督、主演を務めた記念すべき処女作。花束を手にアパートの階段を駆け上がったひとりの女。鼻歌を口ずさみながらパスタをつくって食べ、調理器具をばらまき、洗剤をまき散らし、マヨネーズを浴びる。狭いキッチンで縦横無尽に暴れ回った彼女の支離滅裂な行動は、驚くべき事態で幕を閉じる。その後の反逆的な作品群の原点とも言える破壊的なエネルギーに満ちた、あまりに瑞々しい短編。
Les Rendez-vous d'AnnaLes Rendez-vous d'Anna©Chantal Akerman Foundation

アンナの出会い

監督・脚本:シャンタル・アケルマン|撮影:ジャン・パンゼ
出演:オーロール・クレマン、ヘルムート・グリーム、マガリ・ノエル
1978年|ベルギー・フランス・ドイツ|カラー|127分
最新作のプロモーションのためにヨーロッパの都市を転々とする女流映画監督を描く、アケルマンの鋭い人間観察力が光る一本。教師、母親、母親の友人らとの接触を挟みながら、常に孤独に彷徨い歩く主人公アンナの姿と、日常に溶け込みはしない断片的な空間と時間とを通して、アイデンティティや幸福の本質が絶妙な構成で描き出されている。『パリ・テキサス』(84)のオーロール・クレマン、『キャバレー』(72)のヘルムート・グリーム、『フェリーニのアマルコルド』(73)のマガリ・ノエルとアケルマン作品にしては豪華なキャストが揃う。
Toute une nuitToute une nuitCollections CINEMATEK - ©Fondation Chantal Akerman

一晩中

本映画祭での初上映作
監督:シャンタル・アケルマン|撮影:カロリーヌ・シャンプティエ、フランソワ・エルナンデス、マチュー・シフマン
出演:オーロール・クレマン、チェッキー・カリョ、ヴェロニク・シルヴェール、ヤン・デクレール
1982年|ベルギー・フランス|カラー|90分
ブリュッセルの暑い夜、眠りにつくことのできない人々。ある者は恋人の腕のなかに飛び込み、ある者は街に繰り出し、夫婦は語らい、そしてある者はバーでダンスを踊る……。官能的な熱を帯びた一晩の中で連結していく、数々の出会いや別れ。詩的な青色の夜を描き出す撮影監督の一人に、ジャック・リヴェット監督『北の橋』(81)、80年代のジャン=リュック・ゴダール監督作品、近年ではレオス・カラックス監督『アネット』(2021)を手掛けた名女性キャメラマン、カロリーヌ・シャンプティエ。
Golden EightiesGolden Eighties© Jean Ber - Fonda&on Chantal Akerman

ゴールデン・エイティーズ

本映画祭での初上映作
監督:シャンタル・アケルマン|脚本:シャンタル・アケルマン、ジャン・グリュオー、レオラ・バリッシュ、ヘンリー・ビー ン、パスカル・ボニゼール|撮影:ジルベルト・アゼヴェード、リュック・ベナムー
出演:デルフィーヌ・セイリグ、ミリアム・ボワイエ、ジョン・ベリー、リオ
1986年|ベルギー・フランス・スイス|カラー|96分
美容院やカフェが並ぶパリのカラフルなブティック街を舞台に、そこで働く従業員たち、客たちが恋模様を歌い上げるミュージカル。パステルカラーの衣装に身を包んだ登場人物たちが歌い踊るロマンティックな浮遊感と、愛に対するアケルマンの容赦ない視線が巧みにバランスされている。シナリオにはフランソワ・トリュフォー監督作品に欠かせないジャン・グリュオー、アンドレ・テシネ監督『ブロンテ姉妹』(79)やジャック・リヴェット監督『美しき諍い女』(91)を手掛けたパスカル・ボニゼールと名脚本家が参加した。
Je Tu Il ElleJe Tu Il Elle© Chantal Akerman Foundation

私、あなた、彼、彼女

監督・脚本:シャンタル・アケルマン|撮影:ベネディクト・デルサル
出演:シャンタル・アケルマン、クレール・ワティオン、ニエル・アレストリュプ
1974年|ベルギー・フランス|モノクロ|86分
アケルマン自身が演じる名もなき若い女性がひとり、部屋で家具を動かし手紙を書き、裸で砂糖をむさぼる。部屋を出た彼女はトラック運転手と行動を共にし、訪れた家で女性と愛を交わす……。殺風景な空間と単調な行為が彼女の閉塞感や孤独を際立たせ、激しく身体を重ね合うことで悦びがドラマティックに表現される。観客は彼女の道程を緊張感を持って見つめることによって、その“時間”を彼女と共有する。
Jeanne Dielman, 23, quai du Commerce, 1080 BruxellesJeanne Dielman, 23, quai du Commerce, 1080 Bruxelles© Chantal Akerman Foundation

ジャンヌ・ディエルマン
ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地

監督・脚本:シャンタル・アケルマン|撮影:バーベット・マンゴルト
出演:デルフィーヌ・セイリグ、ジャン・ドゥコルト、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ
1975年|ベルギー|カラー|200分
ジャンヌは思春期の息子と共にブリュッセルのアパートで暮らしている。湯を沸かし、ジャガイモの皮を剥き、買い物に出かけ、“平凡な”暮らしを続けているジャンヌだったが……。アパートの部屋に定点観測のごとく設置されたカメラによって映し出される反復する日常。その執拗なまでの描写は我々に時間の経過を体感させ、反日常の訪れを予感させる恐ろしい空間を作り出す。ジャンヌを演じるのは『去年マリエンバートで』(61)、『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』(72)のデルフィーヌ・セイリグ。
News from HomeNews from HomeCollections CINEMATEK - © Fondation Chantal Akerman

家からの手紙

※『街をぶっ飛ばせ』と併映
本映画祭での初上映作
監督:シャンタル・アケルマン|撮影:バーベット・マンゴルト、リュック・ベナムー
1976年|ベルギー・フランス|カラー|85分
路地、大通りを走る車、駅のホームで電車を待つ人々、地下道…… 1970年代ニューヨークの荒涼とした街並みに、母が綴った手紙を読むアケルマン自身の声がかぶさる。固定ショットやトラベリングで映し出される公共のロケーションと、時折車の音に掻き消されながらも朗読される、愛情溢れる言葉の融合。都会の寂しさと、遠く離れた家族の距離がエレガントな情感を持って横たわる、映画という〈手紙〉。
D'EstD'EstCollections CINEMATEK - © Fondation Chantal Akerman

東から

※日本語字幕無し
本映画祭での初上映作
監督:シャンタル・アケルマン|撮影:レイモンド・フロモン、ベルナール・デルヴィル
1993年|ベルギー・フランス|カラー|115分
ポーランドやウクライナ、東ドイツといった、ソ連崩壊後の旧共産主義国の都市とそこで暮らす人々の姿をとらえたドキュメンタリー。ナレーションや場所の名前をも排して、アケルマンは時折市井の人々の家庭の様子を散りばめながら、果てしない距離や文化情勢、生活様式を記録した。洞窟のような駅のホーム、カメラを見つめる人々の表情、寒空……。透徹した眼差しがその場所で確かに流れる時間と観客を近づけ、好奇心を駆り立て、映像そのものが静かに語りはじめる。
La CaptiveLa Captive© Corbis Sygma - Marthe Lemelle

囚われの女

監督・脚本:シャンタル・アケルマン|撮影:サビーヌ・ランスラン
出演:スタニスラス・メラール、シルヴィ・テスチュー、オリヴィエ・ボナミ
2000年|フランス|カラー|117分
祖母とメイド、そして恋人のアリアーヌとともに豪邸に住んでいるシモンは、アリアーヌが美しい女性アンドレと関係を持っていると信じ込み、次第に強迫観念に駆られていく。マルセル・プルーストの「失われたときを求めて」の第五篇、「囚われの女」の大胆で自由な映像化。嫉妬に苛まれ、愛の苦悩に拘束される虜囚の境地をアケルマンは洗練された表現で描写する。ジャン=リュック・ゴダールの『軽蔑』(63)やアルフレッド・ヒッチコックの『めまい』(58)をも想起させるこの傑作は公開年の「カイエ・デュ・シネマ」ベストテンで2位に選ばれた。
La Folie AlmayerLa Folie Almayer© Chantal Akerman Foundation

オルメイヤーの阿房宮

監督・脚本:シャンタル・アケルマン|撮影:レイモンド・フロモン
出演: スタニスラス・メラール、マルク・バルベ、オーロラ・マリオン
2011年|ベルギー・フランス|カラー|127分
東南アジア奥地の河畔にある小屋で暮らす白人の男オルメイヤー。彼は現地の女性との間に生まれた娘を溺愛し外国人学校に入れるが、娘は父親に反発するように放浪を重ねていく……。『地獄の黙示録』(79)のもとになった「闇の奥」で知られるイギリスの作家ジョゼフ・コンラッドの処女小説を脚色。時代も場所も明かされず抽象化された設定の中で、狂気と破滅の物語が繰り広げられる。原作の持つ実存主義と家父長制という重苦しいテーマを孕みながらも、アジアの街並みを自在に歩き回る娘を横移動で捉えたカメラが素晴らしく、幻想的なまでに美しい。
私が皆様にお伝えしたいことは、
シャンタル・アケルマンの映画は
何の偏見も持たず真っ白な状態で
見ていただきたいということ。
自分の感性と心をオープンにし、
映画の途中で
迷子になる心づもりをしながらも、
何が起こっているのかを
直視してほしいです。
クレール・アテルトン(アケルマン作品・編集)
THEATERS
公開日 地 域 劇場名
東 北
上映終了 仙台市 フォーラム仙台
上映終了 山形市 フォーラム山形
上映終了 福島市 フォーラム福島
関 東
上映終了 渋谷区 ヒューマントラストシネマ渋谷
上映終了 武蔵野市 アップリンク吉祥寺
(『ジャンヌ・ディエルマン~』上映)
上映終了 武蔵野市 アップリンク吉祥寺
上映終了 世田谷区 下高井戸シネマ
10月14日 新宿区 早稲田松竹
上映終了 品川区 目黒シネマ
上映終了 横浜市 横浜シネマリン
上映終了 柏市 キネマ旬報シアター
甲信越静
9月15日 長野市 長野ロキシー
上映終了 松本市 松本CINEMAセレクト
上映終了 上田市 上田映劇
中部・北陸
上映終了 名古屋市 名古屋シネマテーク
上映終了 名古屋市 名古屋シネマテーク
(アンコール上映)
近日公開 刈谷市 刈谷日劇
9月23日 富山市 ほとり座
10月21日 金沢市 シネモンド
関 西
上映終了 大阪市 シネ・リーブル梅田
上映終了 大阪市 シネ・ヌーヴォ
上映終了 京都市 出町座
上映終了 京都市 京都みなみ会館
上映終了 神戸市 cinema KOBE
中国・四国
上映終了 広島市 横川シネマ
近日公開 松山市 シネマルナティック
九州・沖縄
上映終了 福岡市 KBCシネマ
上映終了 大分市 シネマ5
11月3日 宮崎市 宮崎キネマ館
(『ジャンヌ・ディエルマン~』上映)
10月8日 鹿児島市 ガーデンズシネマ
(『ジャンヌ・ディエルマン~』上映)
10月7日 那覇市 桜坂劇場
主催:マーメイドフィルム
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
宣伝:VALERIA